スポ研ナースセンターだより

1.はじめに
試合中に膝の内側側副靱帯を損傷して、当所で手術を受けたあるバスケットボール選手の入院中の経過と退院後の経過についてご紹介します。

2.患者紹介
患者:19才 女性
スポーツ種目:バスケットボール
スポーツレベル:A(当所ナースセンター判定基準による)
スポーツ歴:小学4年からバスケットボールを始め、現在に至る。
競技歴成績:選抜大会準優勝(高校2年の春)
      全日本総合選手権準優勝(社会人1年目)
      第23回日本リーグ3位(社会人1年目)
      第23回日本リーグ新人賞受賞(社会人1年目)
性格:温厚、素直、明朗
身長:161センチ、体重:57キロ、利き手:右、踏切足:左、キック足:右


3.診断
左膝関節鏡検査の結果、左膝内側側副靱帯の単独損傷3度と確定診断された。徒手テストでは前十字靱帯損傷の疑いもあったが、否定された。

4.受傷機転
バスケット試合中、ディフェンスで相手のドリブルを止めようとして、体勢が崩れ、仰向けに転倒し、左膝が伸展した。その時に相手選手が外側からのしかかってきたために左膝が強制外反して受傷。

5.入院中までの経過
平成2年6月11日、台湾遠征中の試合で左膝受傷する。プレー続行不可。アイシング&テーピングにて対処。6月12日帰国。6月13日当所受診。関節穿刺血性10?15ccあり。左膝内側側副靱帯損傷および前十字靭帯損傷の疑いにて手術勧められ、当所即日入院の運びとなる。

6.手術の所見と内容



7.入院中の経過
省略

8.退院後の経過
省略

9.考察
 今回のケガは、彼女には初めて経験するスポーツ外傷であった。将来を期待される選手だけに、監督、トレーナーは、この事態に深刻であった。
 手術前に、主治医より本人、家族、監督、トレーナーに「内側側副靱帯はまず切れている。切れ方によって、糸で縫うかネジで止めることになる。前十字靭帯に関しては、もし万が一切れているようであったら、再建手術を行う」と説明があった。本人、家族、監督、トレーナーは、主治医の説明を聞き、手術を了承する。本人は相当ショックを受けた様子であったが、手術前日には、「スポーツ復帰のためには手術しないといけない」と気持ちの整理がついたようだった。看護婦からは「長い目で競技生活を見るように」と話をしてなぐさめた。
 手術が始まって、前十字靱帯には問題所見はなく、内側側副靱帯の単独損傷であることが判明した。これでかなり早い段階で、スポーツ復帰することが可能となった。リハビリの内容は、いつの試合出場を目指すかで多少変わってくる。術後10日目で1日3回の散歩が義務づけられたこと、術後3週目で開始になったプールでは、当日から両足もも上げ100回×2セットなど、かなり積極的なトレーニングが行われた。
 入院中気になったのは、リハビリの質と痛みの関係である。運動強度が強ければ、創部に痛みがでる、熱感もでる。しかし運動強度が弱ければ、膝の動きがなかなか改善しないためにスポーツ復帰が遅れる。その匙加減は非常に難しい。熟練した理学療法士と医師との連携プレーは極めて大切である。
 理学療法士の適切な指導と本人の努力が実って、術後4ヶ月目にスポーツ復帰を果たす。異例ともいえる早期復帰であった。術後5ヶ月目には、膝の状態を全く臆することなく、全力でプレイできるようになった。その結果、それ以後現在に至るまでに数々の輝かしい栄誉(各種タイトル)を受賞することになった。

【彼女のチームの戦績】
平成2年 全日本総合選手権 優勝
平成2年 第24回日本リーグ 優勝
平成3年 全日本総合選手権 優勝
平成3年 第25回日本リーグ 優勝
平成4年 全日本総合選手権 優勝
平成8年 アトランタオリンピック 7位


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