190402-SIA評論 令和と時代精神 2019年4月2日
令和と時代精神令和の年号が昨日決まり、様々な論評を目にした。
当SIA一口評論公開版3月28日号で「平成の年号発表を目にした知人がこれは遺憾」と述べた事を報告したので「令和」に対する見解を述べる。
良い元号である。「平成」は昭和末期のバブル、及び1945年敗戦後の歪な時代精神の結果生まれた平凡に安定を目指す時代精神であった。その後の失われた「十年」、「二十年」と常々云われて来た時代に対する反省に基づき、明日信ずる自立の精神に満ちているからである。
一部知識を振り舞わす人々の中に早くも的外れな言説があるので、この機会に言及する。令和の英語表記Reiwaに対する言説、日本人のRとLに対する発音能力欠如、困難さに対する意見である。しかし、令和は日本語であり心配無用。英語圏、その他の人々の便宜のために表記を示したに過ぎず、国籍を問わず日本語を母国語とする人々の発音が正しい。無用の議論である。
類似の妄言は世に多い。この機会に一例を挙げる。
日中国交回復時の田中氏の「ご迷惑」発言である。
※ ご迷惑:問題となった「大変ご迷惑をお掛けした」発言は日中国交正常化のため訪中した田中首相が1972年9月25日北京での夜の晩餐会で行った発言の一部
当SIA評論では幾度となくこの問題を取り上げて来たが田中発言はあくまでも日本語発言であり、中国語の「ご迷惑」では無い。田中発言への批判の鎮静化に向けた「大平・周恩来会談」が喧伝されているが、論理的に考察すれば矛盾に満ち嘘と断定できる。
田中氏の日本語発言をその場で直接聞いて怒った中国要人がいるとすれば、その人物の未熟な日本語力に由来する。全く日本語能力の無い人々は中国語訳を読むか、聞いていたはずである。
もし伝えられ、喧伝されて来た様な事態が本当に発生していたとすれば、通訳・翻訳の問題である。田中発言そのものの所為では無く、未熟さか、誤訳か、あるいは全て仕組まれた話しとなる。
具体的に何を意図し仕組まれ、隠蔽されたかは本文では詳述せず一先ず定かでないとして置くが、多額の金が動いた事は事実である。条約締結無しには帰れない田中は足許を見られたのである。
それを「大平・周恩来」の美談とし語られ、何度もNHKのドキュメンタリーでも伝えられ、当時の中華人民共和国日本語通訳者も表に出て喋り、本まで書いている。外交交渉に置ける紆余曲折が、余り日を置かずしてこれ程白日の下に晒される事は実に稀である。ましてや黒子の通訳者がしゃしゃり出る事はあり得ない。中華人民共和国ではましてそうである。この事自体、何かを隠蔽する厚化粧に過ぎない証であろう。日本の援助による各種施設もその表記は剥ぎ取られ、同国国民はその事実をしらず、そういった事実を日本国民も知らず、日中関係の闇だけでなく、無知の闇も深い。
ご参考:190328-SIA一口評論公開版:年号と時代精神
++マスコミ報道ではもっぱら絵となる派手な報道に終始される事が多い。しかし後で振り返ると、そう云った報道が意外に時代を移す鏡となっている事もある。その点は年号にも言える。知人が「平成」の年号発表を目にし、「これは遺憾」と言ったのを覚えている。さて年号はどうなるか?+++++
投稿:2019年5月17日