アーティスト

誰に愛されても / 山内惠介


馬飼野俊一氏


「誰に愛されても(赤盤)」を聴いて


演歌歌手・山内惠介の22作目となるシングル「誰に愛されても」が令和4年3月2日にビクターエンターテインメントより発売された。早速「誰に愛されても(赤盤)」のCDを購入して聴いてみた。

赤盤は、「誰に愛されても」と「はるかの陽は昇る」の2曲が収録されており、両曲とも馬飼野俊一氏が編曲を担当している。

馬飼野俊一氏は、以前にもご紹介したように「笑って許して(和田アキ子)」の編曲を24才で手がけ、最年少で日本レコード大賞・編曲賞を受賞。また昭和時代にミリオンセラーに輝いた「てんとう虫のサンバ(チェリッシュ)」を作曲した作家である。

今日まで『石狩挽歌』北原ミレイ、『さそり坐の女』美川憲一、『北酒場』細川たかし、『襟裳岬』森進一、『ひとりじゃないの』天地真理、『ひなしげの花』アグネス・チャンなど、1万2千曲を超える作品の編曲を手がけている。

山内惠介の「残照」、「唇スカーレット」、「さらせ冬の嵐」、「愛が信じられないなら」のヒット曲も馬飼野俊一氏が編曲を手がけた作品である。

編曲家は料理で言えば味付けを加える存在で、巧みな味付けができる編曲家は技術に長けた編曲家であると言うことである。そういった意味で今回の新曲もさすがに馬飼野俊一氏の編曲だと唸らせる力量に圧倒された。

「誰に愛されても」は、ダダダ~ンの演奏で始まるので、何かを予感させる期待感を抱かせる。
命が宿る躍動感に心が揺さぶられ、もの哀しさ、切なさ、情念を「静」と「動」の曲調で見事に表現している。ドラマチックなアレンジは、女性が男性に思いを寄せる愛が生半可でなく、激しく強い愛だと教えてくれる。また山内惠介のダイナミックな歌いっぷりには永遠の響きを感じる。

一方カップリングの「はるかの陽は昇る」は、心華やぐイントロから始まる明るくテンポの良い楽曲で、雲海から太陽が顔を出して昇っていく広大な眺めと燦々と降り注ぐ陽光が目に浮かんでくる。「まだまだ一生懸命生きていこうよ。きっと明るい未来が待っているから。」と声援を送っているように聞こえる。
歌唱が終わっても、ドドドン! ダンダン! ダンダン!と響きが聞こえてくるのは、馬飼野俊一氏の「まだまだ終わりでないよ。がんばって行こうよ。」との気持ちが込められているようにも感じる。
未来を切り拓いていくのは若者だから、若い人にもぜひこの歌を聴いて人生の励みにして欲しいと思わず願いたくなる。

投稿:シンガープロ 安藤秀樹
2022年3月10日


馬飼野俊一先生にインタビュー


安藤:このたび3月2日に「誰に愛されても / 山内惠介」が発売となりましたが、歌詞にある「せめてあと一秒」には切なさがにじみ出ていて、「運命に引き裂かれて」で心がズタズタに引き裂かれ、そして「まごころ」で包容力に包まれたい女性の一途な思いが、最後の「誰に愛されても」で女性の芯の強さが表現されている詩であると感じました。先生はおそらく詩を見て曲を聴いてから編曲されると思いますが、今回どんなお気持ちで書かれたのでしょうか。

馬飼野先生:もちろん詩を読んで、曲を聴いて編曲します。「誰に愛されても」は、水森英夫氏が売野雅勇氏の詩にメロディーを上手くあてはめて作曲しておられるので、私が最終仕上げとして編曲しました。
歌手の山内惠介が彼なりの表現がきちんとできるように道を作ってあげることが私の役目なので、トータルに考えて今回はドラマチックにアレンジしようと思いました。


安藤:先生はイントロにこだわりがあると伺っています。「誰に愛されても」はいきなりダダダ~ンの演奏で始まるので、何かを予感させるワクワク感を感じます。劇場で聴いているような響きと臨場感は、山内惠介さんの歌声が聴こえる前から感動を覚えます。今回のイントロは、いろいろなパターンを考えられた上での採用なのでしょうか。

馬飼野先生:いろいろなパターンを考えたわけではなく、ドラマチックに仕上げようとの思いでこのようなイントロになりました。
歌というのは、歌の玄関であるイントロを聴いたときに、歌のタイトルや山内惠介が浮かんでこないといけません。
そういう意味で様々な楽曲の編曲を手がけるときに同じアレンジは作ることができません。
今回、詩のテーマに合わせて、女性の気持ちもしっかり汲み取りながらイントロを作りました。


安藤:先生が手がけた「石狩挽歌」や「襟裳岬」は、歌い手と歌がぴったりマッチしています。編曲にあたっては歌い手の人柄や声質なども念頭において書かれているのでしょうか。「誰に愛されても」は山内惠介さんが歌うと最高に輝きます。

馬飼野先生:山内惠介のコンサートやライブを何回も観に行っているのでわかりますが、山内惠介は直立不動で立って最後まで歌う歌手ではなく、身振り手振りをすごく使って歌う歌手です。その都度Aメロ、Bメロ、Cメロとあれば、3つの段階のどこかに変化をつけてあげる、ここでこういうアクセントをつけると「手が挙がるな」とか「顔が動くな」とか、アレンジする場合はそれを一番考えますね。
リズムにおいてもバックサウンドにおいても、結構考えながら書いています。


安藤:カップリングの「はるかの陽は昇る」は、「誰に愛されても」とは全く違うイメージで、明るくテンポの良い歌です。趣きの違う歌を編曲するにあたっては、気持ちを切り替えることになると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

馬飼野先生:2曲をアレンジする場合は、1曲目を書き上げると、次に書こうとするときは、お茶を飲んだり、軽く食べたり、テレビのニュースを観たりして、ワンクッションおきます。そのようにしないとやはり上手く書くことができません。違う世界に飛び込む感じで、心境を変えてからサウンドを作るように心掛けています。

安藤:「はるかの陽は昇る」は歌い終わってからも、ドドドン! ダンダン! ダンダン!と響いていますが、どんな思いからなのでしょうか。

馬飼野先生:エンディングは、バックサウンドが歌手の歌い方に合わせて、ノリと言うかリズムに躍動感をつけるか、あるいは尻すぼみでスーと弱くなるかの2種類しかないと思います。
本来なら「はるかの陽は昇る」は2小節か3小節もなくても良いようなエンディングですが、山内惠介はエンディングで歌詞をすごく伸ばして歌うんですね。しかも伸ばしているときに目を閉じたり、手を挙げたり、表情をいろいろ変えるので、私独自の考えで、リズムにアクセントをつけて、楽器のドラムとベースを使って、終わりそうで終わらないといった具合に余韻が残るように長めにアレンジしました。ドラマッチに終わる方が彼に合っていますし、どうしたら彼に合うアレンジができるだろうかと常に考えて書いています。


安藤:先生のお話を伺って歌い手と歌がぴったりマッチしている謎がとけました。詩を読んで曲を聴いて編曲されるわけですが、歌い手の歌い方・声質・人柄・性質などを踏まえた上で、歌い手の持ち味が100%生かされるにはどのようにアレンジしたら一番良いかを考えながら編曲しておられるんですね。それでしたら、完成したアレンジは、その歌手独自のものですから、他の誰が歌うよりもその歌手が歌うと最高に輝くというわけです。なるほど、だから例えば、森進一の「襟裳岬」がそうなんですね。森進一の独特の歌い方が「襟裳岬」にぴったりなんです。

安藤:このたび、「誰に愛されても」が3月14日付けのオリコン週間ランキングで総合3位、演歌・歌謡部門で1位になりました。J-POPを含めての総合3位はスゴいですね。

馬飼野先生:山内惠介にとっても初めてのベスト3です。
演歌・歌謡曲がJ-POPを含めて総合3位になることは至難の業です。
本当に嬉しい限りで、応援して下さる皆様に感謝です。


安藤:今日はインタビュー取材ありがとうございました。
「誰に愛されても」が大ヒットすることを心よりお祈り申し上げます。


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