企業選手ですが、企業から大きな期待をもって迎えられた選手ですから、大きなプレッシャーがあります。
 私がスポーツ医・科学研究所に看護士(今は看護師)として勤務していた頃、足底筋膜炎で入院していた陸上選手がいました。毎日暗い顔をしていたので、ある日、彼女に「足底筋膜炎程度の疾患でクヨクヨしないで前向きにがんばろうよ。もっと大変な疾患でがんばっている選手がいっぱいいるのだから」と言ったら、ワーと泣き出してしまいました。彼女にしてみたら、痛みで走れない状況が続いていることは、死ぬほど辛いことだったんですね。私は足底筋膜炎になったことがありませんので、痛みを実感として知りません。励ますつもりで言った言葉が、かえって彼女を大きく傷つけてしまいました。彼女は企業の期待を一身に背負っているわけです。企業は彼女の活躍を見込んで治療費も給料も支払うわけですから、彼女にはカムバックして活躍してもらわないと困るわけです。たかが足底筋膜炎では済まされません。長引く治療で大きな焦りと不安が日々募り、その重圧に押しつぶされそうになっていたんですね。


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