WCANの勉強会に参加して 〜2006年のWebを振り返る〜
12月9日に開催されたWCANの勉強会に参加しました。
会を重ねるごとに参加人数が増え、規模が大きくなっていくのを感じます。
さて、勉強会の内容ならびに私の感じたことを下記にご紹介します。
ユーザー中心デザイン(UCD)のポイント 講師:益子貴寛 氏
UCDとは、User-Centered Designの頭文字で、利用者を中心に設計するデザインという意味のようです。私には耳慣れない言葉でしたので、一つ勉強になりました。
講師の益子貴寛さんのお話を伺って、ユーザー中心のホームページ制作は確かに必要であると思いました。
フラッシュで手の凝っているホームページにお目にかかることがありますが、何を意図して作られているホームページなのかがよくわからないといったサイトがあります。おそらく制作者は、
超素晴らしいホームページであるとご満悦のことだろうと思いますが、第三者にわかりにくいホームページなので意味をなさないように思います。
商用目的のホームページは自己満足のサイトではありませんから、このようなホームページは好ましくないと思います。
誰にでもわかるホームページを心がけて制作することは大切だと思います。そしてそれには制作したホームページが客観的にどう思われるのかを公開する前に把握する必要があります。
そこで、ユーザーテストなんですね。
講師の 益子さんは、ユーザーテストには、
○社内テスト(スタッフ)
○クライアントテスト(身内)
○一般ユーザーテスト
○年齢分布/性別テスト
○年収/居住地ミックステスト
○健常者/障害者ミックステスト
○ITリテラシーの高い人/低い人ミックステスト
などなどがあり、
テスト手法にも
○ヒアリング
○グループインタビュー
などなどがあると語っておられました。
あとユーザーテストに要する人数ですが、私は多ければ多いほど正確になるのではないかと思っていましたが、ヤコブ・ニールセン式によると5人いればほぼ大丈夫とのことです。
様々な検証の結果得られた数式であると思いますが、クライアントにお届けする商品に関しましては、「社内から5名を選出してユーザーテストした結果です」とお話を持っていってもクライアントは納得されないだろうと思います。と言いますのは、作為があるように思われますし、社内スタッフはITリテラシーの高い人の集団だからです。
私はやはり一般ユーザーから無作為に5名選出して得た結果が良いのではないかと思いました。
講師の 益子さんが語っておられたようにユーザー中心のホームページ制作にあたっては、デザイン賞などを受賞した良質なホームページを徹底的に分析してみるのも良いことであると思います。
最後に「ユーザー中心」と言っても、全ての人が望むホームページを完全に実現するのは困難ですので、 ターゲットユーザーを選定して、そのニーズに対する優先順位をつけてデザイン設計を行うのが望ましいということをお話されました。
2006年のWebを振り返る 講師:長谷川恭久氏
タイトルを見てあまりおもしろくないかなと思いましたが、いや実に面白くて大変有意義な講義でした。
今年のWebを振り返って2007年のトレンドを予測して見るということですが、皆さんはどのように予測されるのでしょうか。
講師の長谷川氏は、ウィジェットの台頭、SNS(ソーシャルネットサービス)のセグメント化が進むのではないかとお話されました。
私はウィジェットを使用したことはほとんどありませんが、ウィジェットで直接データにアクセスすることができるようになるので、従来のWebブラウザを立ち上げて、そこからサイトを探してアクセスするという手法が変わるのではないかと勝手に解釈させていただきました。
長谷川氏は「Webブラウザからの脱却」と簡潔にお話されました。
最初にWebブラウザを開くのではなくて、ウィジェットをまず最初に開く。この感覚。これは面白いですね。どんどん世の中が変わっていく感じでワクワクします。
ウィジェットは簡単に作れると長谷川氏は仰っていましたが、本当かな?
でもそれがトレンドになるのでしたら勉強しなくては。
あと興味深かったお話は、mixi(ミクシー)が何故いいのかということです。
mixiがけっしてわかりやすいサイトではないけれど、そこにいると雰囲気がいいから、居心地がいいから、だから人は集まるのだとういうことらしいです。単に人は便利さだけを求めているのではなくて有意義な生活を求めているんだということがわかっただけでも嬉しくなりました。
最近は殺伐としたニュースが多く流れてくるじゃありませんか。世の中が便利になりすぎて、心の交流、触れ合いがなくなって心が荒んできたのではないかと言われています。しかしそうは言っても、やはり人は心の拠り所を求めているんですね。
MySpace(マイスペース)は、mixiと同じく会員同士の親交を広げるためのコミュニティ・サイトです。
このMyspaceがとてもいいらしいのです。
ホームページのレイアウトなどはお世辞にもよくないそうですが、会員が自分の好きなようにホームページが制作できる充実感、達成感が味わえる、しかも初めて入会したときでもちゃんとお相手してくれる人が必ず現れて心の拠り所になってくれるのが受けているようです。
ホームページは雰囲気が大切ですね。
SNS(ソーシャルネットサービス)のセグメント化ですが、人々の触れ合いの中でも、共有する場所は一人一人異なってきますので、例えば自分は「野球」と「絵」が好きであるとして、ある人は「絵」と「飛行機」が好きである場合、自分とある人は「絵」で共有できるけど、「野球」に関しては別の人としか共有できない場合などです。この場合は、「野球」というSNSと「絵」というSNSが現れてくるだろうということです。このお話は大変興味深く聞かせていただきました。
オンラインゲームの広がりとその楽しみ方の変化というお話も興味深い内容でした。
ゲーム内で実際に経済が動いているというのは驚きです。ゲームの中で不動産を経営してお金を稼いでいる人がいる?これって本当ですか?世の中一体どうなってしまうのでしょう。
投稿:2006年12月15日
安藤秀樹