スポ研ナースセンターだより


● 高校3年生の体操選手が、今月、 前十字靭帯の再建手術を受けるために当所に入院してきました。
彼は小学3年生から体操を始めて、中学3年生の時に県大会優勝、全国大会36位と好成績を収めました。
高校入学後の成績は知りませんが、体操に関しては、いわば英才教育を受けて育ってきたと言っても良いと思います。
当研究所には小学5年生の時から、腰痛、足関節炎、膝痛、肩痛、大腿屈筋挫傷などで受診しています。
彼の全国レベルでの活躍は、まさにケガとの戦いでした。
彼には夢があります。 “獣医さんになりたい” と、今、受験勉強に励んでいるのです。
勉強している姿を見ると、「頑張れ!」と応援したくなります。

● 全日本学生選手権3位に入賞したことのあるバドミントンの女性選手が、ケガ治療のために当所にリハビリ入院してきました。
彼女は、膝、肩、肘、アキレス腱を痛めていました。
大学2年生の時に、試合中にアキレス腱を断裂して、関東の病院で縫合手術を受けました。
「この時は相当落ち込んだけれど、いい経験をした。この経験をステップにして、もっと強い選手になろう」と誓い、その後猛練習したそうです。その甲斐あって好成績を収めたのですが、その間に肩、膝、肘を痛めたりとあちこちのケガに悩まされました。
社会人になってから、練習量が増えて膝の痛みが増しました。
受診した病院の医師からは、「チームの監督が言われるようにウェイトトレーニングを続ければ良くなる」と言われましたが、彼女は「このまま練習を続けたらどんどん悪くなる」と心配になり、自ら当研究所を受診されたのでした。
しかし当所にても、彼女が望んでいる決定的な治療方法がありませんでした。
「膝の痛みは、関節鏡手術の後遺症(皮神経の炎症による痛み)だから心配ない」と説明されました。
彼女自身は、医師の説明になかなか納得する様子がありませんでしたが、入院して基礎トレーニングを続けていくうちに、次第に症状が良くなっていきました。
そして彼女は今月下旬に退院しました。
退院時、彼女は、「しっかりケガを治してからスポーツに復帰したい」 と言っていましたが、それとは裏腹に来月早々にも試合に出場しなくてはいけないようです。
最近の不景気で、会社がぎりぎりの選手しか採用しなかったために、団体戦では、一人の選手も欠けられないというのです。
さらに問題があります。 チームの監督が、スポーツ医学に理解がないようなのです。
例えば、「アイシングやストレッチングは気休めに過ぎないから、特に行わなくても良い」と指導するらしいのです。
彼女は本当に困っている様子でした。
どうしたら良いのでしょう?

● 先月下旬に鈴鹿サーキットで行われた8時間耐久レースで総合3位に入賞したモータバイクの選手が、今月末に当所に肩鎖関節脱臼で緊急入院してきました。
バイクレース中に転倒してのケガでした。
医学書には、手術療法か保存療法か意見の分かれるケガであると記載されています。
当所の医師が採用した治療方法は、保存療法でした。というのは、9月早々のレースに出場しなくてはいけないからです。
しかし保存療法にしても4週間は患部を固定していたいところです。 それをわずか2週間の固定だけでレースに出場するわけですから、正直なところ医師としては、責任が持てません。
スポーツ整形外科医は、とてもつらい立場にあります。
そしてスポーツ選手はなんと過酷な人たちだろうと思います。

スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1995年8月
診療部 主任看護士 安藤秀樹

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