世界陸上9日目 男子4×100mリレー 日本メダル届かず 6位入賞
楽しみにしていた男子4×100mリレー決勝は、日本は残念ながらメダルを獲得できなかった。
2走へのバトンパスに詰まりが見られたこと、3走の桐生選手が脚を痛めたことが敗因として挙げられる。
しかし、優勝したアメリカは圧倒的な強さを見せ、世界の壁の高さを改めて実感した。
自国開催ということもあり、スタート前の紹介で日本チームが紹介されると、轟音のような大歓声が響き渡った。
モニターには、日本選手たちがそれぞれワンピース・ルフィのポーズを決める姿が映し出され、それを見ていたアメリカのライルズ選手が笑っていた光景が微笑ましかった。
リレー競技開始直前に土砂降りの雨に見舞われたことは、大変残念だった。
トラックがタータンであっても、雨で濡れていると走りにくくなることは、過去の私のレース経験から理解できる。
スパイクを履いていなければ、トラックを全力で駆け抜けることはほぼ無理である。
インコースはアウトコースと比較して水溜まりができやすいため、不利になる。
このような悪条件の中、男子4×400mリレー決勝は、アメリカがトップ、ボツワナが2番手、南アフリカが3番手で駆け抜けた。勝負は最後のホームストレートに持ち込まれ、アメリカ、ボツワナ、南アフリカの大接戦となった。ボツワナはゴール手前数メートルでアメリカを逆転し、南アフリカの猛追を振り切って劇的な優勝を果たした。手に汗を握るレース展開に、私は釘付けになった。
アメリカは異例の救済措置で決勝に進出した。仮にアメリカが出場していなかった場合でボツワナが優勝したら、「アメリカがいなかったから」と評されたかもしれない。しかし、アメリカを制しての正真正銘の優勝であり、文句の付けようがない。
女子4×400mリレー決勝は、アメリカが断トツのトップで優勝した。
3走でアメリカがジャマイカを大きくリードしていたため、アメリカのアンカーがマクラフリンであったことから、この時点でアメリカの優勝を確信した。雨が降りしきる悪条件の中での優勝タイムが3分16秒61の大会新記録であったことは驚きだ。
女子4×100mリレー決勝は豪雨の中、号砲が鳴った。
1走目でドイツが先頭に立つが、2走目でアメリカが逆転。3走目ではアメリカ、ジャマイカ、イギリスが激しい争いを繰り広げ、4走目でアメリカがリードを広げるも、ゴール直前でジャマイカに抜かれるかと思われた時、アメリカは一歩先にゴールに飛び込んでいた。ジャマイカが2位、ドイツが3位だった。
女子800m決勝と男子5000m決勝は、雨がまだ降り始めていない好条件の中で行われた。
女子800m決勝は、最後の直線でケニアのオディラ選手が大逆転し、42年ぶりの大会新記録で優勝した。
最初の200mをメアリー・モラア選手が26秒46で通過し、世界新記録誕生を期待させる展開となった。400mを55秒78で通過し、メアリー・モラア選手が1位、ホジキンソン選手が2位で600mを通過。その後、ホジキンソン選手が先頭に立ちリードするが、ハンターベル選手が内側から追い上げる。ラスト70mでオディラ選手が外側から猛追し、ホジキンソン選手、ハンターベル選手、オディラ選手の壮絶な争いになる。ラスト30mでオディラ選手が先頭に立つとそのままフィニッシュ。ホジキンソン選手とハンターベル選手は先頭からわずかに遅れてほぼ同着でフィニッシュ。優勝はオディラ選手で1分54秒62、2位はハンターベル選手で1分54秒90、3位はホジキンソン選手で1分54秒91だった。
男子5000m決勝は、コール・ホッカー選手が12分58秒30で優勝した。
スタートからハイスピードで、記録が期待できるレースとなった。
先頭1000m通過は2分40秒、2000m通過は5分15秒という驚きのペース。
3000m過ぎで後方に付けていたパリ五輪金メダリストのインゲブリクセン選手が先頭に立つと、そのままトップで4000mを10分31秒で通過。残り450mでインゲブリクセン選手が4選手に抜かれ、ラスト1周では7番手、先頭はエチオピア。ラスト300mは壮絶な戦いとなり、エチオピアのメハリー選手が先頭、ホッカー選手が4番手。ホームストレートでホッカー選手が猛追し、残り60mで先頭に立つとそのままゴール。2位はキメリ選手で12分58秒、3位はグレッシエ選手で12分59秒33だった。なんと5位までが12分台というハイレベルなレースだった。インゲブリクセン選手は13分02秒00で10位に終わった。
女子走り高跳び決勝は、オリスラガース選手が2m00で優勝した。
ジョジグ選手が2m00で銀メダル、マフチク選手とトピッチ選手が1m97で銅メダルを獲得。
マフチク選手は、予選で1度しか飛ばずに余裕で決勝に進出し、決勝でも1m97を余裕でクリアしたことから、優勝を予感させた。
2m00にバーが上がると、オリスラガース選手は1回目で成功。一方、マフチク選手は1回目失敗。そこでマフチク選手は金メダルを意識したのか、2m00をパスして2m02に挑戦。ジョジグ選手は3回目に2m00をクリアしていた。
豪雨により競技が2度中断し、再開後の2m02の1回目、オリスラガース選手は失敗し、マフチク選手も失敗。そして、勝負をかけたマフチク選手の2回目も失敗に終わった。マフチク選手は2m00をパスしていたため銅メダルに終わった。
豪雨がなければ、マフチク選手が優勝していたかも知れない。また2m00をパスせずに2回目に成功させていれば銀メダルだったので、その当たりが残念だった。
投稿:2025年9月22日
安藤秀樹

男子4×100m決勝 アメリカ優勝!日本6位