2025東京世界陸上・女子マラソン:小林香菜選手の躍進
本日開催された世界陸上の女子マラソンで、小林香菜選手が7位入賞を果たした。
小林選手は、今年1月の大阪国際女子マラソンでパリ五輪6位の鈴木優花選手を破り2位に入賞した選手である。市民ランナーから一躍トップランナーに躍り出た小林選手だが、今日のレースで大阪での2位はフロックではなく本物であることを実感した。
小林選手がゴールまで残り200mの地点で、高橋尚子さんが「過酷なマラソンはもうすぐ終わります。終わりますが、彼女のマラソンのスタートはここから始まりそうですね。これからの成長を楽しみにしたい選手です。」と語っていた言葉が印象に残る。
佐藤早也伽選手は、前回のブダペスト世界陸上でペースの揺さぶりに飲まれて惨敗した苦い経験から、今回は自身のペースを守った走りを心掛けたようだ。そのため、テレビ中継には中盤全く映らなかったが、粘り強い追い上げで13位でフィニッシュ。トラックに入ってきたときの彼女の走りには勢いがあった。
28位だった安藤友香選手は、蒸し暑い過酷な環境下で粘りの走りができなかった印象を受けた。
優勝はジェプチルチル選手、2位はアセファ選手だった。2人のラスト150mはどちらが勝つかわからない壮絶な戦いだった。それはまるで短距離走を観ているかのようだった。
パリ五輪でのハッサン選手とアセファ選手のラストの熾烈な争い、遠い昔では福岡国際マラソンでの瀬古利彦選手とイカンガー選手のラスト100mでの勝負、瀬古選手が鮮やかなスパートでイカンガー選手を抜き去り、突き放したシーンを彷彿とさせる。
1970年代にマラソンで一世を風靡したフランク・ショーター全盛期、彼はマラソンでのラストスパートには意味がないようなことを語っていた。
それはマラソンとはトラックに入る前にすでに勝負がついている競技であると考えていたからだと思う。しかし、現代ではマラソンは最後の最後まで気の抜けない競技ゆえに、ラストのスピードがいかに重要であるかを今回のレースで再認識させられた。
投稿:2025年9月14日