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大会運営者への提言と選手の安全意識


2025年東京世界陸上競技選手権大会において、男子10000m、女子10000m、男子マラソン、女子マラソンのいずれも、終盤は短距離走レースを彷彿とさせる展開となった。
これは、酷暑という悪条件の中、選手たちがいかに体力を温存しつつ、最後の最後で勝利を掴むかを模索していた結果と考えらる。

マラソン大会が、気温27度~30度、湿度70%~80%という気象条件の中で開催されることには、大きな疑問が残る。

酷暑が幸いだったとは断言できないが、暑さに強いと思われていたアフリカ勢が脱落し、日本勢が上位に食い込めたのは、酷暑を勝機と捉えていた日本選手の心意気によるものではないだろうか。

男子マラソンでは、2時間3分の記録を持つゲティッチ選手が24キロ過ぎで急失速、2時間2分の記録を持つ優勝候補のゲレタ選手も残り5キロで棄権。39キロ地点では、エチオピア勢もケニア勢の選手は誰もいなかった。その地点で近藤亮太選手は先頭集団から少し離れて10位を力走していたが、テレビ中継で解説を務めた青山学院大学・原晋監督は、「10位であっても集団が崩れたとき、やめる選手がでてきますから、辛抱して欲しいですね。」と近藤選手に期待を寄せた。

40キロ地点で先頭集団も一杯一杯の状態だと思われたが、競技場に3選手がなだれ込んでくると史上稀な超劇的なラストシーンを演じてくれた。昨日の女子マラソンといい、壮絶なトラックでの大接戦は、一体どうなっているのかと思った。

シンブ選手とペトロス選手が同タイムでゴールしたときにはどちらが勝利したのか分からなかった。
シンブ選手が2時間9分48秒で優勝、同タイムでペトロル選手が2位、アウアニ選手が銅メダルを獲得した。

過去にも同じような名場面が日本であった。1991年東京国際マラソン大会で、小指徹選手とアベベ・メコネン選手の大接戦で、2時間10分26秒の同タイムでゴールし、小指徹選手が着差ありの2位で、アベベ・メコネン選手が優勝した。

今回、日本勢では、近藤亮太選手が2時間10分53秒で11位、小山直城選手が23位、吉田祐也選手が34位だった。

沿道での亮太コールは、テレビ中継からもよく伝わっていた。

近藤選手は試合後、インタビューで「耳が割れるような応援が後押しになった」と語った。小山選手、吉田選手も同様に、声援の力の大きさを感じていたようだった。3選手とも感謝の気持ちを述べていた点で大変清々しい印象を受けた。
3選手には、今回の悔しさをバネに、さらなる高みを目指して欲しいと願う。
なお、近藤亮太選手がアームカバーを着用していた点が気になったが、冷却効果のある素材のアームカバーであったのだろうか?

今回の大会は、日本勢の健闘により成功に終わったように受け止められるかもしれないが、酷暑の中でのマラソン大会は、選手の生命に関わる危険な大会であることを大会運営者は深く認識し、対策を講じる必要があると考える。選手の身体に相当な負担を強いることになる点を考慮し、大会を美化することなく、選手は酷暑の中での競技は将来に悪影響を及ぼすかも知れないと考えて、棄権する勇気を持つことも必要であると思う。

投稿:2025年9月15日



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