政治経済

高市首相が昨日、「来年4月から食品消費税を1%に引き下げる」と表明した。多くの人が待ち望んでいたことであり、歓迎する人も多いのではないだろうか。しかし、将来の日本の社会保障制度のあり方を考えると、私には大きな懸念がある。

そもそも先の衆院選で、自民党をはじめ各政党が消費税減税を掲げながら、レジ改修など現場の実務的混乱を把握できていなかったことは、情けないとしか言いようがない。

高市首相は「赤字国債は発行しない」と明言したが、年間約5兆円に上る財源の確保に関しては具体的な案を示していない。

また、「2年後に確実に税率を元に戻す」とも明言した。しかし万が一、高市首相がそれまでに退陣した場合、次の首相が「約束の2年が過ぎたので元に戻します」と言って、国民が納得するだろうか。

高齢化に伴い膨らみ続ける社会保障費は、現在の税率でも賄いきれていないのが実情である。もし消費税減税が結果として物価高を招くようなことになれば、それこそ本末転倒である。

高市首相は「消費税減税は私の悲願」と述べた。しかし、首相の人気取りとも受け取れる悲願の達成が、取り返しのつかない事態を招くかもしれない。

消費税は税率3%で導入され、約30年かけて10%(軽減税率8%)まで引き上げられてきた。本来なら複雑な軽減税率は解消したいところだが、国民生活への影響に配慮して8%にとどめている。税率の引き上げは政権の命運にかかわるため、容易には動かせないのが現実だ。

今回、長年国民の反発を乗り越えて築き上げてきた消費税を、一気に1%へ引き下げるというのだから、無謀に近いと言わざるを得ない。

したがって、首相の悲願達成という立場に配慮しつつも、「周辺からの強い反対によりどうしても実現できなかった」という形で、消費税減税を思いとどまらせるのが賢明ではないだろうか。

今必要なのは消費税の減税ではなく、現金給付で乗り切りつつ、何よりも物価高を抑える政策に重点を置くべきだと思う。

投稿:2026年7月31日
シンガープロ 安藤秀樹



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