足部楔状骨間離開と腓骨筋腱脱臼の症例から ナースセンターだより1994年7月
1.はじめに
今月手術を行った足部楔状骨間離開接合術2例 (新鮮例1例と陳旧例1例)と腓骨筋腱脱臼整復術1例の症例をここに紹介します。
2.各症例の紹介
(1) 足部楔状骨間離開陳旧例 [左足外側・中間楔状骨間離開]
[1]患者紹介
患者: ○○ 19才 男性
スポーツ種目 : 野球
スポーツレベル : C (当所ナースセンター判定基準による)
身長:175cm
体重:75kg
[2]受傷機転と当所入院までの経過
H5年11月 ドッジボール着地時に受傷。A整形外科受診。ギプス固定 2週間。ギプス除去後も疼痛あり。
H6年1月 B病院受診。「左第2中足骨にひびが入り、 楔状骨間離開がある」と診断を受ける。 ギプスシャーレ3週間固定。 その後足底板をつけて歩行していた。
H6年3月 足底板はずして歩行開始する。しかし、 疼痛継続していた。(XーP上では改善なし)
H6年4月 Y整形外科受診。 B病院と同様の診断を受ける。
手術を勧められて当所紹介される。
H6年7月 当所入院となる。
[3]手術後の予定
手術当日 ギプス固定(下腿~足部)
術後1日目 患肢免荷 SLR ・Patell setting開始
術後2日目 リハビリ開始 ギプス部分カット (開窓ガーゼ交換)
術後1週目 全抜系
術後8日目 シャワー浴開始
術後3週目 ギプスカット ギプスヒールつけて 1/3 荷重歩行開始
[4]現在の症状(現在術後18日目)
第1・第2足指とその近辺にしびれ継続している。
[5]手術の内容
(2) 足部楔状骨間離開新鮮例
[1]患者紹介
患者:〇・〇 22才 女性
スポーツ種目:バスケット
スポーツレベル:B(当所ナースセンター判定基準による)
身長:179cm
体 重:60kg
[2]受傷機転と当所入院までの経過
H6年7月10日 バスケット練習中相手の足の上に乗り、爪先と踵の両方に力がかかり受傷
H6年7月11日 当所受診。左足楔状骨間離開と診断されて手術勧められる。
H6年7月14日 当所入院
[3]手術後の予定
手術当日 ギプス固定 (下腿~足部)
術後1日目 患肢免荷 SLR・Patell setting開始
術後2日目 リハビリ開始
術後1週目 フットタッチ歩行開始
術後12日目 ギプス部分カット
術後2週目 全抜糸 ギプスカット 1/3荷重歩行開始 ROMフリー
術後7日目 シャワー浴 バイブラバス開始
術後4週目 1/2荷重歩行開始
術後6週目 全荷重歩行開始 キルシュナー抜去
[4]現在の症状 (現在術後16日目)
特に痛み、しびれなし。
[5]手術の所見と内容
第2中足骨と内側楔状骨間および内側楔状骨と中間楔状骨間の靱帯は完全に断裂していた。
第2中足骨と内側楔状骨側に比較的残存していた靱帯に糸をかけ、それぞれ内側楔状骨と中間楔状骨間にφ1.5キルシュナーで2カ所穴をあけ、 PULL OUT。
第2中足骨と内側楔状骨間および内側楔状骨と中間楔状骨間に一時的にφ1.5キルシュナーで固定。
(3) 腓骨筋腱脱臼例
[1] 患者紹介
患者:〇・〇 16才 女性
スポーツ種目:バドミントン
スポーツレベル:C (当所ナースセンター判定基準による)
身長:160cm 体重:48kg
[2]受傷機転と当所入院までの経過
H6年5月20日 バドミントン練習中、右足を踏み込んだ時に受傷。当日R外科病院診。 「XーP問題ない」と言われ、そのまま帰宅する。
H6年5月21日 D病院受診。 「軽い捻挫」と診断を受ける。
その後数カ所整体などに通う。 痛み軽快せず。
H6年6月20日 当所受診。 「腓骨筋腱脱臼」 と診断を受け、手術を勧められる。
H6年7月12日 当所入院
[3]手術後の予定
手術当日 ギプス固定 (下腿~足部)
術後1日目 フットタッチ歩行・リハビリ開始 SLR・Patell setting開始
術後8日目 ギプス部分カット (開窓) ガーゼ交換
術後2週目 1/3荷重歩行開始 全抜糸
術後15日目 シャワー浴開始
術後16日目 ギプスヒール付ける
術後3週目 1/2荷重歩行開始
術後4週目 全荷重歩行開始 ROM訓練開始
[4]現在の症状 (現在術後16日目)
特に痛み、しびれなし。
[5]手術の内容
外果外縁で浮き上がった骨膜を含む支帯を切離。 外果上の瘢痕を切除。 ノミで新鮮化。 φ1.8 キルシュナーの穴を4カ所あけ、これに糸を通し縫合。ポケット閉鎖。この上に最初に切離した支帯と関節包を縫縮。
旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1994年7月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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