編集後記 1994年1月
● 今月は、ベッドの稼働率は低かったのですが、 入院患者数は29名と過去2年間の中では最高でした。これは、年末から新年にかけて外泊予定であった患者が、年末に一時退院し、新年になってから、再入院(リハ入院)した患者が3名いたこと、他にリハ入院の患者が7名いたこと、 また、入院期間が4〜7日間の短期入院患者が 7名いたことによるものです。
● 小学校6年生の相撲選手が、膝に痛みがあって、膝の関節鏡手術目的で入院してきました。 全国ちびっこ相撲大会で2位の選手です。 体重は 103キロ。 握力は測定した所では、弱かったのですが、 取り組みの押しは、とても強かったです。 大の大人が小学校6年生の男の子に負けるのですから、恐れ入ります。 将来は、お相撲さんになりたいそうです。 両親は、将来をとても楽しみにされています。
● 昨年の6月に膝の前十字靭帯再建手術を受けたハンドボールの女性選手が、 術後2ヵ月目頃から膝に水が溜まるなど、 膝の調子が思わしくなく、 今回、 抜釘手術も兼ねて、 膝関節鏡の手術目的で入院してきました。手術では、瘢痕、滑膜などを切除して、膝の中をきれいに掃除しました。
これで良くなると良いのですが、 彼女の場合は、足首も捻挫していて、そのままの状態ではプレイすることが難しい状態でした。 手術するかどうか、彼女自身、相当な葛藤があったようです。 結局は、主治医の勧めで、手術することを決心しました。 ところが、彼女には、 まだふっきれない気持ちがあります。 一つのケガを治療したら、また次ぎのケガの治療という具合に、ケガの治療のためにどんどん月日が過ぎ去っていくので、 果たして、 競技引退までの間、どれほど頑張れるのだろうかと心配しているのです。
● 感染症の2人の選手の手術が、 同じ週に1日おいて続けて行われました。 手術中に使用している針を誤って、 術者が自分に刺そうものなら、肝炎になってしまうことがあるので、 非常に神経を使います。 手術が終わると、 正直なところ、 やれやれとほっとした気持ちになります。
いつも不思議に思うのですが、感染症の選手のある時は、 決まって立て続けにあるのですよ。 不思議ですねえ。
●オーストリア・スキーワールドカップで、滑走中に転倒して、 膝の靭帯を損傷し、 急遽帰国して当所に入院してきたアルペンのスキー選手がいます。 幸い、 診察した所見では、 前十字靭帯の断裂ではなくて、 脛骨前十字靭帯付着部剥離骨折でした。治療はギプス固定等の保存療法ですむということなので、 本当に良かったです。 しかし、 これで彼のリレハンメル冬季オリンピックへの出場の希望は、断たれてしまいました。
旧 (財)スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1994年1月
元 診療部 主任看護師 安藤秀樹
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