中足骨疲労骨折の症例報告 ナースセンターだより1993年2月
1. はじめに
社会人ラグビー部員が第5中足骨疲労骨折で当所にて骨接合手術を受けた。 入院中の経過、退院後の経過について報告する。
2. 患者紹介
[患者] :〇・〇 23歳 男性
[スポーツ種目] ラグビー
[スポーツレベル]B (当所ナースセンターの判定基準による)
[スポーツ歴]
・ 中学:バスケットボール
・ 高校:ラグビー
・ 社会人:ラグビー
[性格]明朗
[身長]183cm
[体重]90kg
3. 入院までの経過
平成1年9月中旬頃より、ランニング時などに右足の甲外側に痛みがあった。
平成1年10月18日、 練習試合中、ボールをもらいサイドステップしたら、右足に “ボキッ"と音がした。 痛みが強くて歩行できなかった。 即T病院受診。アップ帯で圧迫処置された。
1ヵ月半程練習を休んだ。
平成1年11月29日、 練習中、ジャンプ着地時、右足に "ボキッと音がした。 痛み強く歩行できなかった。
T病院にてギプス固定を2週間受けた。
その後、 3ヵ月程練習を休んだ。
平成2年5月26日、試合中にボールをうけて、ダッシュ、相手との接触をかわそうとサイドステップしようとしたら、右足に負荷がかかり、“ボキッ”と音がした。
即T病院受診。 右第5中足骨疲労骨折と言われ、 担当医師より当所紹介されて、 平成2年6月16日、当所手術目的にて入院となった。
4. 手術前、手術後のレントゲンの経過
7.考察
第5中足骨疲労骨折 (Jones fracture)は比較的治りにくいとされている。
治療としては「基本的には骨折線がみえた時点で適切に3〜4週の安静、トレーニングの変更を図り、その後足底アーチのテーピングで徐々にプレーをしていく」と「症例によるスポーツ外傷・障害の実際」 という医学書に記載されている。
この患者の場合、受傷時点で、T病院を受診し、1ヵ月半の安静。
再度受傷時には、ギプス固定2週間 、3ヵ月の安静を行った。
しかし、練習再開後、再々度受傷した。
保存的治療で治療を終えても、サイドステップ時に踏ん張る右足にかかる負荷に患部が耐え切れなかったろうと思われる。
手術したところでは、経過は良好であった。
手術後9ヵ月目に試合復帰。
試合復帰を果たしてみて、患部の痛みはそれほど気にならなかった。 試合終了後、 大丈夫だったんだなという感じだったそうである。
術後2年8カ月後の現在では、全く患部を気にすることなく全力でトレーニングに励んでいる。
旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1993年2月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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