編集後記 1995年4月
● あるスキー選手の手術が、手術4日前に突然キャンセルになりました。それでひさびさに手術のない日がやってくると思っていましたら、手術がキャンセルとなったその日に、前十字靱帯を損傷していた外来患者が受診されました。医師は「君は何と幸運なんだろう。ちょうど今日、手術がキャンセルになって、空き日が4日後にあるので、その日に手術しませんか?」と尋ねました。ご本人も同伴の母親も「ぜひお願いします」と即答し、あもすもなく手術が決定してしまいました。
早く手術したくても手術予定が一杯ですぐに手術できない選手がいる中、このように即座に手術が決まってしまうケースもあるんですね。
● 大きな手術がある場合には特殊な器具が必要となる場合があります。 このような場合は、事前に業者に連絡して器具を手配します。ところが、 突然手術がキャンセルになって、せっかく準備した器具が不要になる場合があります。そんなときは業者の方には大変申し訳なく思います。仕事とはいえ、業者も大変です。
● 陸上競技の競歩で日本最高記録を樹立していた選手が、今月、膝の関節鏡手術を受けるために当所に入院してきました。
関節鏡手術の結果、大腿骨軟骨と脛骨軟骨がかなりすり減っていました。
ご本人にお話を伺うと、若い時に400mトラックを125週 (50km)歩き続ける大会に出場したり、1日に40kmから70km歩き続けるトレーニングを随分行ったようです。
競歩は膝に負担のかかる歩き方ではないかと私は思います。
日本はじめ世界の競歩大会主催者側が超長距離大会の開催を中止して、短い距離の競歩大会で選手を評価するようにしていただけたら、 膝の故障に苦しむ選手も少なくなるのではないかと思いました。
● 入院患者数も手術件数も増えていますが、当研究所・診療部の収益はかなり減少したとのこと。大きな原因は保険点数がきびしく見直されたためだと思います。
一生懸命働いても減収とはつらいですね。
スポーツ医・科学研究所が特殊な施設ということで優遇されたら良いと思いますが、 それは浅はかな考えでしょうか。
● スポーツ医・科学研究所オープン以来の外来患者のID、名前、病名、スポーツ種目、職業の全データを、マックのパソコンに落とすことができました。これで検索が大変楽になりました。
データをパソコンに落とすにあたっての変換中に気づいたのですが、総患者数13,594人の内5,496人 (40.4%)が、何と初回受診日での病名が入力されていませんでした。これでは正確な病名件数がわかりません。医師の学会発表に利用していただくためには正確な情報を把握しておくことが必要です。
旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1995年4月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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