スポ研ナースセンターだより


● プロゴルファー目指して、アメリカで頑張っていた女性選手が、今年6月にゴルフ練習中にバンカーショットで膝を痛めました。
歩行できなくなるほどのケガで、7月に帰国して当所を受診。
診断結果は、 “半月板損傷の疑い” でした。
彼女は 「このまま放置するのはとても心配だから、早く手術してほしい」と切望されるも当所では、手術予定が一杯で、すぐには手術できませんでした。
1ヵ月待って、やっとの思いで今月、手術を受けました。
結果は外側半月板損傷でした。
現在は退院して、当所にリハビリ通院していますが、まだ十分に膝を曲げたり、伸ばしたりすることができません。
ケガはきっと良くなると思いますが、しばらくはリハビリトレーニングが必要です。
彼女は「来年3月にアメリカで行われるゴルフに参加したい」 と言っていましたが、「太ももに力が入らないこんな貧弱な足で、 果たして出場できるかしら」 と弱気にもなっています。

● 現在、当研究所では看護婦の人手が足りません。
手術日の午前中は、当直明けの看護婦を手術室に呼んで仕事してもらっています。その間、病棟の看護婦は一人になるので、その間にスポーツドックの採血があったり、入院してくる患者がいると大変です。
手術が2件入っていて、手術時に入院してくる患者がいる日は、本当に困ってしまいます。
1件目の手術の終わる少し前に、2件目の手術患者にプレメデを行います。するとすぐに1件目の手術が終わるので、手術患者を迎えに手術室に行きます。患者を病室まで移送したら、血圧測定などバイタルチェックを行います。それが終わると今度は、2件目の手術患者を手術室へ送り出します。その後、2件目の手術患者の術後ベッドを作成します。そうこうしているとお昼になって、入院患者が一人一人トレーニングを終えて、リハビリ室から病室に戻ってきます。そんなときに頭痛や腹痛を訴える患者が現れると、対処できるか心配になります。
こんなにも忙しい日に、入院してくる患者のアナムネをとったり、入院オリエンテーションを一人の看護婦で行う余裕はとてもありません。
従って手術日の午前中の病棟看護婦は2名必要です。
病棟を受け持った看護婦は、午前9時に出勤して、その夜に当直し、さらに翌日の午前中は手術室で日勤の看護婦と同じようにフルに勤務してもらうのは、何とも忍びがたいことです。
私は、看護婦には『お願い!あと少しだけ我慢して下さい』と心の中で叫んでいます。
看護婦もまた、『今は人手が足りないからやむを得ないけれど、きっと来年には看護婦が増員されるので良くなる』と信じて仕事しています。

※ プレメデ:術前処置のことで、検査や手術に対する不安や緊張を除去したり、より大きな麻酔効果を得るために、注射を行うこと。

※ アナムネ:入院患者を病棟に迎えるときに病気の経過や身体のことを伺うこと。

● 外来診察は予約制になっていますが、実際には飛び込み診察も結構多いです。
医師は、依頼があれば断ることができないので、快く引き受けますが、問題は、選手が『自分は予約していなくても診察が受けられる』と思うようになることです。
予約が一杯だけでも医師は大変なのに、そんな時に飛び込み診察が一杯入ったら、実際の所たまりません。
対策としては、「当診療部は予約制になっていますので、本日は誠に申し訳ありませんが、次回に診察の予約をお願いいたします」とお話しして、はっきりお断りする。あるいはあらかじめ外来予約表に飛び込み診察を見込んで、その専用欄を作成しておく。
以上のことでもしなければ、少ない人数できりきりまいに仕事しているスタッフの身が持ちません。

旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1995年9月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹

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