スポ研ナースセンターだより


● 3月13日に行われた名古屋国際女子マラソン大会で、臀部の痛みで13.5kmで棄権した旭化成の選手が3月18日、当所に入院してきました。 病名は坐骨疲労骨折でした。「よくこんな状態で13.5kmも走れたな。スゴイ頑張り屋さん。」と担当医師は驚いていました。 昨年、一昨年とケガでマラソン大会出場を断念していて、やっとつかんだ今回のフルマラソンで、しかも「マラソンの素質は大阪国際マラソン大会で優勝した安部選手より上」と言われていただけに本当に残念でした。大会を途中やむなく棄権したときには涙ぐんでいたようですが、今ではすっかり立ち直りました。次回への再起を目指して一生懸命リハビリに取り組んでいます。 礼儀正しい、ハキハキした明るい選手です。

● 一般に女性長距離ランナーの多くは生理がみられず、 そのため骨がもろくなり、激しいトレーニングの継続で疲労骨折をきたしやすいと言われています。女子マラソンのトップランナーにとって、そのことは大きな課題だと思います。

● 月末になって慌ただしくなりました。名古屋グランパスの選手が急きょ入院し、手術を1日に4件行わなくてはいけない事態が起こりました。午後の外来はすでに診察の予約が埋まっていたので、1日に4件の手術はきわめて困難だと思いました。 しかし、行うしかないと覚悟を決めましたら、手術が急きょ一件キャンセルとなり、 1日に3件の手術になりました。しかも当日の3件の手術が 実にスピーディに行われたので、普段と変わらない1日でした。この日が休みであった看護婦に休日返上で出勤してもらいましたが、 こんなことなら、無理に休みを返上してもらう必要はありませんでしたね。

● 今月の入院患者数は、30名と過去2年間の中で最高でした。年々入院患者数が増えています。それと平行して手術件数も増えています。ですから今月のように緊急手術を要する患者が入院して、 しかも手術の日程がうまく調節できないために、やむなく手術を1日に4件というような事態が発生します。 一杯一杯の仕事は、医療者の肉体的・精神的疲労が増し、医療過誤が発生しやすい状況を生み出します。 仕事には多少のゆとりが必要であると思います。

旧 (財)スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1994年3月
元 診療部 主任看護師 安藤秀樹

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