編集後記 1993年7月
● 前十字靭帯再建手術を希望していたK選手は、かなり太っていたので、主治医より 入院までにもっとやせないと手術はできない」とハッパをかけられました。ところが、入院前日に受診に訪れたときは、ちっともやせていませんでした。 主治医は、「これでは手術はできない」とためらわれました。でも、K選手が、 “なんとか手術してほしい” という顔つきをするものものですから、やさしい先生は、 「本人の切なる願いをなんとか叶えてあげようか』という気持ちになられて、手術することを承諾するのでした。このようにしてK選手は手術を受けました。でも、手術した膝の靭帯に負担がかからないように、これからもやせないといけないのです。K選手、 頑張って下さい。
●リハビリの佐藤先生は、選手に「太もものココに力を入れるんだ」 と真剣な眼差しで見つめてから、太ももに「ココ」と書いたそうです。 指導された選手は、佐藤先生の真剣さの中にあるちょっとしたおかしさに、思わず吹き出しそうになったそうです。でも、リハビリ室は真剣にトレーニングに取り組む場、笑ってはいけないと"ぐぅ”とこらえてリハビリに励んだそうです。 佐藤先生は、入院患者さんの間では、もっぱら“ユニークな良い先生”と評判のようです。
● 韓国のバスケットボールの選手が、 前十字靭帯再建手術を受けました。 ところが、彼女は、日本語が話せません。手術した当日は、通訳の方が見えていましたし、彼女は手術した傷口の痛みもなく元気でいたので良かったのですが、翌日からが大変でした。 彼女は、傷口の痛みが強くてなんとかして欲しい様子でしたが、 通訳の方がみえない状況では、 看護婦が大変でした。
韓国語の本を片手に、 ジェスチャーと片言の韓国語で応戦するのです。「飲む薬、 坐薬、注射、どれがいいの?」 と言ってもなかなか通じません。「困るよ。 かわいそうで見ていられないよ。こっちが痛くて泣いちゃったよ」 と困惑する看護婦。 そうかと思えば、 ある日彼女が、 国際電話をかけたいというので、その対応に悪戦苦闘して走り回る看護婦。 本当に、本当にご苦労様でした。「私たち、韓国語も勉強しないといけないね」と看護婦さん。
● 女性の患者さんから、 プールのところにある浴室に椅子をおいて欲しいと依頼がありました。話を聞くと、「椅子がないために、壁にもたれるなどして苦労して着替えている」ということでした。『危険な状態で着替えているのであったら、椅子を置いた方が良いのか』 と思いました。さっそく事務局にお願いしたところ、快く承諾していただけました。 でも椅子を置いたからといって転倒を免れるわけではありませんから、そのあたりのことは、患者さんに重々認識していただかないといけません。
● 月末になって、1日に3件手術があったり、1日に4名入院してくる日などがあったり、あわただしくなりました。 やはり夏休みの影響でしょうか。
● 今月の入院患者は、珍しく女性の選手ばかりでした。 男性が1名であとは全員女性という日があって、男性選手は、たくさんの女性選手に囲まれて、いたたまれなかったそうです。
旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1993年7月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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