編集後記 1995年5月
● ある大学の野球選手が、「筋肉を増やして体重を増やしたい。そのためにはどのような食事をとれば良いのか」と当所の栄養相談を受けました。
なんでも巨人の桑田選手が高校時代の体重が60kg台であったのが、現在80kg台であるのにあやかりたいというのです。
「筋肉を増やすには、ウェイトトレーニングをして、蛋白質をとり、よく寝て下さい。 就寝前にアンパンは食べないで、どうしても夜食をとりたい場合は、せめて就寝する2時間前にして、チーズとかバターとかヨーグルトとか蛋白質になるものをとって下さい。練習前後は、牛乳を飲むよりは、むしろ100%のオレンジジュースを飲んだ方が効果的です」 と指導を受けたそうです。
ご本人は、「今までこのようなことはちっとも知りませんでした。4,000円でこれだけの内容の栄養相談は安いと思います」と語ってくれました。
そして彼のメモにはこんなことが書かれていました。
チーズ人間になろう!
● 足首の内くるぶしを骨折した中学3年生のサッカー選手が、当所に手術目的で入院してきました。
入院当日、ご本人より 「7日後に修学旅行があるので、その修学旅行にぜひ行きたい」とお願いがありました。
医師は、「手術して4日後に修学旅行に行かせることには責任がもてない」と少し困っておいででしたが、学校の先生からもご両親からも「車椅子でも良いので、ぜひ行かさせていただけませんか」とお願いされて、やむなくご本人の修学旅行を許可されました。
彼は手術が終わって4日後に車椅子を借りて退院となりました。
それにしても医師は、時々患者から無理難題と思われるようなお願いをされることがあるので立場上つらいですね。
● 韓国のバスケットボールの女性選手が、ある日曜日の早朝に退院となりました。他の入院患者6人が、彼女を慕って、朝早く起きて彼女を見送りました。先日、退院したばかりの患者が彼女を迎えに車で当所に来て、彼女を飛行場まで送りました。
彼女は入院時、日本語が話せなくてコミニュケーションが思うように取れませんでした。しかし、 2カ月入院している間にかなり日本語が話せるようになりました。それに伴って他の入院患者ともすっかり仲良しになりました。
このように入院患者は、お互いに入院中に親しくなって、退院してからも手紙を出し合ったりしてお互いの絆を深めているようです。
彼ら、彼女らにとって、当研究所での入院生活は随分良い思い出となっているようです。
● ある日のことですが、不審な人物(男性)が当研究所の回りをうろうろしていました。
昼間に入院患者の部屋を覗いていたり、夕方には当所の職員がグランドで走っているのを芝生の真ん中でじっと見つめていました。気味が悪くなって宿直人が警察を呼びました。
夜の9時半頃でした。そのとき当所の駐車場で車に乗っていた不審な人物を入院患者が目撃して、尋問しようとしたところ、急に車を発車させました。
入院患者は、その車に勢いよく飛び乗って、取り押さえようとしましたが、振り落とされて、その車は走り去ってゆきました。
パトカーが来てすぐ追いかけましたが、間に合いませんでした。
当研究所がオープンしていた時に女子の浴室を覗いていた人物と同一人物らしいということです。
それにしても不審な人物が当研究所に現れるのは困りものです。何とかしたいものです。
旧 スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1995年5月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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