スポ研ナースセンターだより


1. はじめに
前回ご紹介した第5中足骨疲労骨折の骨接合手術をうけた選手の症例報告で、 抜釘後の経過について詳しい情報を得ることができましたので、ここにご紹介します。

2. 抜釘後の経過


3. 考察
この選手は、術後9ヵ月目で練習試合に出場する。
術後1年1ヵ月目でテーピングを必要としなくなる。
術後1年3ヵ月目頃に本試合に1試合あるいは2試合に出場するが、 本来の調子を取り戻せないでいた。
術後1年9ヵ月目に本来の調子を取り戻す。
術後2年3カ月目で、本試合に完全復調した。
このことから、第5中足骨疲労骨折の骨接合術を受けたラグビー選手の試合復帰は、術後9ヵ月目、 完全試合復帰は術後2年目頃になろうかと思われる。
 
先日、サッカー日本代表の北沢豪選手 [ヴェルディ川崎] が、 練習中に左足甲の外側に異常を訴えて、横浜労災病院で診察を受けた結果、小指の中足骨疲労骨折と診断されたそうです。
新聞に掲載された今後の治療方針と症状についての箇所を抜粋します。

手術をして骨をつけるためにボルトを入れる方法もあるけど、 オレは筋肉が強いからボルトが折れちゃうんだよ。だから、そっとしておくだけで手術もしないし、固定もしない。ただ湿布をして、なるべく動かさないようにしておくだけだよ。

現在の症状は 、寝返りを打ったりすると痛い。 普通に歩こうとすれば歩けるが、骨がずれると回復が遅れるから左足をひきずって歩いている。

北沢選手の第5中足骨疲労骨折の骨折箇所が明らかではありませんが、『症例によるスポーツ外傷・障害の実際』 という医学書には、「第5中足骨基部の裂離骨折の場合には、手術適応となることはほとんどないが、 第5中足骨近位骨幹部に生じた骨折 (Jones骨折) では、遷延治癒や偽関節に陥る傾向が強いといわれており、このような症例には、髄内釘による内固定や、十分な外固定が必要である』 と記載されています。

北沢選手は保存的治療で進めていく方針のようです。
本年10月頃 (受傷 6.5カ月目)に完全復帰の予定でいるようですが、 あせらないで、じっくり治療に専念して欲しいと思います。
北沢選手の今後の動向に注目したいと思います。

スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1993年3月
診療部 主任看護士 安藤秀樹

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