中学1年生の相撲の選手から ナースセンターだより1994年2月
先月小学6年生の相撲の選手が入院していました。 体重が103kgもあり驚いていましたが、今月は、その選手をも凌ぐ体重140kgの中学1年生の相撲の選手が入院してきました。
その選手の「病名、問題点、今後のこと」について医師が家族へ説明されたことをここにご紹介します。
《整形外科医の立場から》
病名:左膝大腿顆部骨折
左膝大腿頼部に1cm×0.5cm程度の関節軟骨および軟骨下部に欠損がありました。
欠損部の骨片は見つかりませんでしたので、摘出しておりません。
将来見つからなかった骨片は消失するか、あるいは関節鼠になることがあります。 膝関節鼠は、“見つからなかった骨片が次第に大きくなっていく”ことを言います。膝の中でぐるぐる浮遊して、痛みを誘発することがあります。その時には、手術して摘出することになります。現段階では、膝の中の将来のことはわかりませんので、様子をみることになります。
[今後]
手術してから膝の動きも非常に良くなってきていますので、このままリハビリを続けてスポーツ復帰とします。
《内科医の立場から》
[問題点]
13才としては異常な肥満です。肥満による障害が少しづつでてきています。血液検査では、脂肪肝の疑いがあります。また高血圧、 心肥大がみられます。このままの状態で相撲を続けることは、好ましいことではありません。 今後のことを考えると今のうちにきちんと治療しておいた方が良いと思います。体重コントロールして、体質改善を図りましょう。
[対策]
間食を一切やめ、主食は腹八分目で押さえて下さい。
[今後]
今から2〜3ヶ月間食事コントロールで様子をみて、もし体重が減らないようでしたら、内分泌の異常も考えられますので、その時は、そちらの検査を受けられることをお勧めします。
参 考
身長 : 171cm
体重: 140kg [退院時は133.6kg]
受傷機転:相撲取組中相手が乗りかかってきて後方へ転倒して受傷する。
推定体脂肪率:63.6% [上腕部:48mm, 肩甲骨下部:50mm]
血液検査
入院中の経過
入院期間:2月14日〜2月28日(15日間)
旧 (財)スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1994年2月
元 診療部 主任看護士 安藤秀樹
ナースセンターだより
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