スポ研ナースセンターだより


● ある日、当研究所・診療部副部長の井戸田仁(いどた・ひとし)医師が、私にこう話して下さいました。

「当所の外来診療だけでスポーツ選手を診ていても、本当に良いスポーツ医療を提供していることにはならないと思う。選手が怪我をして、その怪我の部分だけを見て、選手の治療の手だてを考えるだけではだめで、スポーツの現場に出て、スポーツ選手がスポーツに取り組んでいる真剣な眼差しをひしひしと感じることが必要であると思う。 それができてこそはじめてスポーツ医と言えるのではないだろうか」 と。

「本当にそうなんだな」と共感を覚えるとともに井戸田仁医師のスポーツ医としての情熱を感じました。

選手の試合を見に行くと、普段の外来で見ている選手の表情とは全く別人のように見えるそうです。
そして彼ら彼女らが必死にプレイしている姿を見ると、何とかしてあげたいという気持ちに駆られるそうです。
こうした気持ちになれることがスポーツ医の適性なんだと思います。

井戸田仁医師は、11月3日 (日) トヨタ自動車のラグビーの試合を、 11月4日 (月) の祭日には大同特殊鋼のハンドボールの試合を、11月24日 (日) にはトヨタ自動車のラグビーの試合を、また他にシロキ工業の女子サッカー、ブラザー工業、ジャスコの女子ハンドボールの試合などと、時間の許す限り現場に足を運んで少しでも選手を理解しようと努めておられます。

理学療法士の先生方も同様に様々な現場に足を運んで、監督、コーチ、選手との絆を深めています。

現在、外来で選手が受診しているのも、こうした医療スタッフの地道な努力のお陰です。

スポーツ医・科学研究所が、あるチームと契約しているとか否かではなくて、様々なチームとの絆を深めてゆくことは、将来のスポーツ医・科学研究所の発展にぜひとも必要であると思います。

それができるのがスポーツ医・科学研究所であって、他の医療機関にはない大きな特色であると思います。


● 腰椎椎間板ヘルニアのラグビー選手が、当所に入院して1ヵ月間保存治療を行ってきましたが、症状がなかなか好転しないため、他病院に転院して手術を受けることになりました。

彼は、「ぜひスポーツに復帰したい。 だから手術しない」 と言って、 牽引と注射の治療で頑張ってきましたが、ほとんどベッド上で寝たきりの状態が続いたので、とうとう観念して「私は手術しないと復帰できないのではないか?」 と思うようになって、 今回思い切って手術することになりました。

彼が入院してから最初の数週間は、看護婦が彼の洗髪、足浴、上半身の体拭きをベッド上で行っていましたが、『風呂に入りたい』という彼の切なる希望があって、理学療法士の先生方が 『それならぜひ彼を風呂に入れてあげたい』と、夕方、外来の仕事でお疲れのところを、 彼の病室に訪れて彼をストレッチャーに乗せ、合宿所の浴室まで連れていき、彼の身体を石鹸で、髪の毛をシャンプーで洗いました。

彼は5分も立っているとえらくなるので、 寝ながらの状態でした。

彼は、理学療法士の先生方のいたわりの気持ちに深く感謝していました。

スポーツ医・科学研究所
ナースセンターだより1996年11月
診療部 主任看護士 安藤秀樹

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